高坂悟郎:
(米)メディアクラフトLLC社長、二人の娘をアメリカ・カリフォルニアで育てながら、子供の教育、生活のなかでのインターネットのあり方について関心を持ち、その実態や環境についての情報を集めています。 連絡先:
kosaka (アットマーク)mediacraftlabs.com

« August 2006 | Main | November 2006 »

September 28, 2006

ハイテクカンニング対策に追われる学校

Schools fight cheaters who use tech tools
マーキュリーニュースにこんな記事がありました。

最近はEメールを使って宿題を手分けして片付け、一晩のうちに複数の生徒どうして回答をやりとりし、自分なりのアレンジを加えて完成させる生徒グループが増えている。 生徒たちはこれを「コラボレーション」と呼ぶ。

一方学校側もこれまでは過去レポを多少編集して作成されたレポートなどを見分けるすべが無かったが、現在はハイテクの恩恵を受け、生徒のレポートをデータベース上の6万件以上のレポートとWeb上の膨大な文献と比較、マッチングを行い、定められた割合以上の類似性が認められると「パクリ」判定を下ろすという民間のサービス Turnitin.com を利用する学校が急増している。

オークランドに本拠地を置く Turnitin社のこのサービスを利用する高校は現在全米で4000校を超え、学期末テストシーズンには全米から6万件のレポートが「パクリチェック」に送られてくるという。 同社によると、そのうち3割以上はレポートの4分の1がすでに存在する文献や過去レポートとそっくりという、「パクリ疑惑」がかけられる。

同サービスの利用料金は、生徒一人当たり年間80セントというから、一般的な高校では年間1300ドル程度になる。

インターネットを利用し、情報を検索、交換する技術に長けている現在の若者たち、悪意は無いのかと聞かれると、「学校の宿題が多すぎてとても真面目に全部こなすことは出来ない。 ネットを利用して効率化するしかない。」と答える。

たしかに、オリジナリティのあるレポートを沢山かくことも大事ですが、ネットから必要な情報を集め、より分け、再構築するという技術はより実社会で役に立つスキルかもしれません。

同じレポートでは、こうした過去レポ問題以外に、試験中に iPod や携帯電話を利用して答えをカンニングする生徒が増えておりこうしたハイテク機器の持ち込みに対する規制を強める学校が増えていることについても触れられていました。

September 21, 2006

保護者代表になりました

アメリカでは、G.A.T.E. (Gifted And Talented Education)というのがありまして、突出した才能のある子供を育てようというわけで、毎年学校から推薦を受けた児童がテストを受け、この結果と普段の成績、保護者と学校の推薦を総合的に考慮し合格すると GATEの資金で通常のカリキュラム外の様々なプログラムが受けられるようになっています。 テストは通常の授業内容とはことなり、どちらかというとIQテストに近い内容で3年生から5年生までは同じテストを受け、その結果に学年と月例で補正を加えられたものが使用されます。

うちの学区でも、学区全体で昨年580人がGATEに推薦され、このうち290人がGATEの認定を受けました。 ところが、GATEプログラム自体は、「予算は出すけれど使い方は学区、学校任せ」といったもので、学区や学校によってはほとんどプログラムが実行されていないケースもあるそうです。

そこで、うちの子供たちの通う学校の学区では、各学校から保護者と先生の一名ずつをGATEの学校代表として集まってプログラムの内容や実行方法を打ち合わせるミーティングを持っています。 今年は、この保護者代表に指名を受け、ミーティングに参加することになりました。

ブログのテーマとは少しずれるところもあるかもしれませんが、コンピュータやインターネットを利用したプログラムについての話も多く、興味深い内容がレポートできそうなので、こちらに新しく「GATE」というカテゴリを作り、レポートして行きたいと思います。

さて、第一回のミーティングではGATEプログラムの実施に保護者のサポートを得るため、GATE児童の保護者宛てに送るレターとアンケートの内容について話合いました。 州から資金援助が得られるといってもわずかな物なので、結局は保護者や先生のボランティア協力がどれくらい得られるかが重要になります。 学区として今年実行するのは、毎年行われている「GATEサマーキャンプ」で、他の課外プログラムについては学校単位で進める方向とのことです。

学区のGATEサマーキャンプでは、夏休みの数週間、GATE児童を集めて、「チェスを使ったゲームでのクリティカルシンキング」、「クッキングの中での算数と科学」、「生活の中のアフリカンアメリカン文化」などのテーマのクラスを実施しています。

学校単位では、これまでは保護者のボランティアが中心となって 「学校新聞作り」 を実施しています。 これは紙面の構成からインタビュー、記事の作成までを実際に体験させるものでなかなか好評でした。 今年はできれば、「コンピュータを使って学校のプロモーションビデオを作成」なんてのが出来たら面白いと先生と相談しているところです。

September 13, 2006

小学校の宿題でワープロOK

9歳の娘の学校にBack to the school Nightで行って来た。 Back to the School Nightというのは、毎年9月の頭に保護者を学校に呼んで行われる説明会。 校長先生からの挨拶とお話があったあと、各教室に別れて子供の担任から教育方針や授業の進め方、クラスのルールなどについて説明を受ける。 こちらの学校では公立でも先生によってかなり授業の勧め方、使用する教材、宿題などについてのルールが異なるので、新しい先生のやり方を聞いておく良いチャンスだ。

今回の担任は、子供にパソコンの使用を積極的に勧める先生だった。 特に、レポートや宿題などのライティングは可能ならパソコンを使用することを勧めるという。 先生曰く、これまで手先が不器用で字がきれいに書けないことにコンプレックスを持っていた子供が、パソコンを使うようになりすばらしい文章を書くようになる例を多数見てきたという。

「綺麗な字をに書くことが目的ではなく、読み手にとって読みやすい字で文章を書くことが大事なのです。 したがって、筆記体が苦手な子は活字体でOK。 それも苦手なら、ワープロでも全然構いません。 本人が書きやすく、私(読み手)が読みやすいことが重要です。」

字が下手だけどメールやチャットは大好きな娘はこれを聞いて大喜びだ。

確か今時、文章を各ことのほとんどはタイプすることで、手書きが求められる機会はどんどん減っている。 たまに手書きしなければいけないのは申し込みフォームなどの記入時だが、これも最近ではフォームの元となるPDFに直接書き込んで印刷がきるケースが増えている。 

日本でもこれからは、漢字の書き方を教えるのではなく、「ワープロ変換候補のなかから正しい漢字を選択する」ことを教えるほうが現実的かもしれない。 綺麗な漢字を手書きしたい人は、選択科目として習字や書道で学べばよい。

September 05, 2006

お年寄りはネットの進化から取り残して絶滅するのを待つしかないのか

このブログでは、現在激しい勢いで進化しているネットの中で主役では無いながらも、次の主役の座が約束されている子供たちとネットの関係について追求していますが、今回はちょっと方向性を斜めにずらして、ネットの世界に取り残されたまま絶滅しようとしているエージグループ、「お年寄り」に注目してみたいと思います。

現在のネット関連のテクノロジーは凄い勢いで進化し続けているので、若い世代でも最先端のネットテクノロジーにリアルタイムでついていく事ができているのはごく一握りの専門家です。 その後ろに、新し物好きなオタク層、コンピュータが趣味の理系の人が続きます。 こうした人は、新しい技術を誰よりも早く利用するためには、多少の使い勝手の悪さは気になりません。 技術のほうから利用者に歩み寄る前に、自分から勉強して新しい技術に歩み寄るタイプの人たちです。

最新技術が、一般人に使いやすいレベルまで降りてくるには多少の時間が必要です。 それまでの間は、こうした「利用者側からの歩み寄り」にある程度頼らざるを得ません。

自動車技術の促進が過渡期だった時期、最新の自動車にいち早く乗りたいユーザは、自ら自動車のメカニズムを勉強し、故障したら自分で修理できる技術を習得することが必要でした。 自動車技術は進化が速過ぎて、新しい技術を一般人に使いやすいものにしている暇がなく、どんどん次の技術が開発されていたのです。

この時期は、「車が好きな人」と「本当に車が必要な人」以外には、車とはずいぶんとっつきにくいものだったことでしょう。 しばらくして、自動車技術の進化の速度が緩まってくると、ユーザインタフェイスの進化が始まり、ボンネットなんか開けたことがなくても、車が動く仕組みをしらなくても自由に使いこなせる時代が訪れます。 この時期に、だれでも簡単につかいこなせるためのユーザインタフェイスが進化し、一般人が始めてその技術の恩恵を受けることができるようになるわけです。

インターネットは、今まだ進化の過渡期にあるといえると思います。 最新の技術についてゆくには、常に新しいものを勉強し続けなければなりません。 進化の速度が速すぎて、一般人に使いやすくするための技術は残念ながらまだ発達していません。

私の周りでも、最前線で働いている人たちのほとんどが、「実家の親はいまだにメールもできない、インターネットの恩恵をちっとも受けていない。」と言います。 

我々の親の世代は、インターネットから取り残されたまま、絶滅するしかないのでしょうか。

今、技術の進化のスピードを緩めてまで、この世代が追いついてくるのを待っているべきなのでしょうか。

ユーザインタフェイスを進化させるためには、根幹となる技術はある程度落ち着いている必要があります。 そうしないと、UIを進化させている間に、元の技術が古いものになってしまうからです。 実例として、NIFTYやAOLのように、一般人にコンピュータ通信を広めた功績は認められつつも、いまだに専用ブラウザからしかネットが見えない数年前で時間が止まってしまったユーザ層を作り上げることになってしまいます。

私は、技術の進化のスピードを緩めずに年配世代を取り込む道を見つけることが重要な課題だと考えます。 

今の、じいさんばあさん層の知恵をデジタイズすることができれば凄い資産になるでしょう。

うんちくを垂れるのが大好きで、時間だけはたっぷりあるこの世代の人に、情報発信、情報共有のツールをあたえることができれば、そこから私たちが得ることのできる情報量は計り知れません。

実際に、一部の恵まれたお年寄りがブログや個人ホームページで発信している情報の濃さ、深さに目を見張るものがあります。

これを実現するためには、技術の進化の速度を緩めるのではなく、置いてけぼりの彼を迎えに行って、おんぶしてここまで連れてくる若い世代のリアルな努力が必要なのではと漠然と考えを進めています。